2010年11月17日水曜日

Right StuffかLight Stuffか

最近の総理大臣や国務大臣の言動をみると以前読んだTom Wolfeの小説の題名(Right Stuff)を思い出さざるを得ない。
Right Stuffとは、「正しい資質(をもった人々)」という意味である。本の中では、「NASAのマーキュリー計画(宇宙に人間を送り出す国家プロジェクト)を背景に、戦闘機パイロットが「ライトスタッフ(己にしかない正しい資質)」に従い孤独な挑戦を続ける姿と、国家の重圧に耐えながら信頼の絆を深め合う宇宙飛行士と家族の姿とを対比」して描かれている。
翻って、日本の最近の総理大臣をみると、果たして、Right Stuffといえるのだろうか。
あるいは、Right Stuffを持った総理なのだろうか。

日本では、内閣が総辞職した場合、又は内閣総理大臣が欠けた場合、日本国憲法第67条の規定により、国会において文民である国会議員から内閣総理大臣を選出しなければならないとされているが、そのプロセスはいささか複雑である。
実際には衆議院で過半数をとった政党の党首がなることになる(衆議院の議決が優越されるため)。

この政党の党首を選出するプロセスが、日本の最高権力者である総理大臣を選出するのに、適切であるかどうかかが問題である。
選挙で過半数をとった政党なので、その政党に属する議員の過半数によって選ばれれば間接的に民意が反映された総理だと算術的に考えればいえなくもない。
しかし、議員以外の党費を払って加入した一部の一般民間人も投票するとなるとどうだろうか。
総理を選ぶというのに一部の民意しか反映されない、この不可思議なプロセスで選ばれた権力者は、妥当であるといえるだろうか。

また、党内で選挙の対象となる候補者も、最高権力を握り、国を動かすべく、正しい資質(Right Stuff)を持った議員といえるのだろうか。
他国との交渉力、大臣をコントロールする制御力、他党との交渉力、メディアとの接し方など評価のポイントはいろいろとあるだろうが正しく評価されて候補者になり選抜されて来ているのだろうか。

これらの自問自答的な質問に対して、おそらく多くの人が、Noということだろうと思う。
やはり、討論会などを通して、候補者の「正しい資質(Right Stuff)」をあぶり出し、Right Stuffを有したと思われる候補者を国民投票で選抜する仕組みが必要とされる時代ではないかと思う。

ちなみに、ころころ自分の主張が豹変したり、あきらかに批判されるような軽い言動をする総理大臣、国務大臣などは、Light Stuff(軽い人々)と呼ばれ揶揄されるのは当然だろう。

日本の総理大臣、国務大臣には、過去にもましてRight Stuffが要求されている。


Right Stuff : 正しい資質。1979年に出版されたTom Wolfeの小説の題名でも有名。
Light Stuff : 軽い人々